弁護士 竹内 彰志

LAWYER SHIYOJI YAKEUCHI

2016年11月29日

外国企業が日本政府を訴えていいというISD条項について

【ポイント】
外国の投資家が日本の政府や自治体を訴えることができるISD条項への対応は、都道府県や市町村には、現状ではできないと言わざるを得ません。訴えに負けると、日本の税金が海外の民間企業に流れることとなります。TPPが日本で暮らす人に意味があるか、審議を続けて議論すべきです。

【主張】
TPPについて、トランプ次期大統領が離脱を表明したあとも日本の国会では可決批准に向けて国会審議が進められています。

ところで、国会審議で明らかになった、外国の投資家が日本の政府や県、市を訴えることができるISD条項という制度については、全く議論がなされていません。
これまでの政府答弁は、日本政府が訴えられることはないというものです。TPPで日本政府を訴えることができる制度を用意しておいて、訴えられる側の日本政府が訴えられることはないと自らいうのは、理屈として成り立ちません。
「ISD条項で訴えるにはハードルが高いから日本は訴えられない」という意味の説明を日本政府はします。しかし、ハードルがあるということはハードルを超えたら訴えられるわけです。
ISD条項に基づく訴えは、日本の裁判所ではなく海外の仲裁機関になります。つまり裁くのは日本の裁判官ではありません。
また、訴えはTPP条約に基づいて行われます。TPP条約は、英語、スペイン語、フランス語で書かれています。日本語は仮訳としての意味しか持ちません。条文の解釈が外国語でなされるわけです。解釈指針となる条文の作成過程も明らかにされません。
日本の市区町村、都道府県はキチンと対応できるでしょうか。率直に言って、今のままでは訴えられてはじめて慌てるという後手になるでしょう。負ければ日本の税金が海外の民間企業に流れていきます。このような制度を導入してはいけません。
(2016.11.2ReDEMOSへの寄稿をバージョンアップ)