弁護士 竹内 彰志

LAWYER SHIYOJI YAKEUCHI

2020年8月2日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発生時の企業広報対応

1 企業広報対応のあり方

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染流行に伴い、身近に感染した方、濃厚接触者がいるということも、当たり前のことになってきました。企業・団体としては、従業員、取引先や顧客、これらの方のご家族や同居者の方に配慮した、体制整備と発信が求められます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の確定診断のためには、P C R検査か抗原検査が用いられます。P C R検査は有償で行える医療機関があるものの、基本的に、企業・団体が従業員などの感染の端緒として知りうるのは、これらの陽性反応が出た、というよりも、まずは体調不良であるのが通常です。

 そのため、日々申告するかはともかく、体温の確認を促し、体調不良の際は職場への出勤以外の方法での勤務を促すなど、柔軟な対応が求められます。体温の報告を一律で求めることはプライバシー侵害になるリスクもありますから、一律の体温を超えた場合は出勤させないなどの措置があり得ます。

 また、日常から、業務として切り替えられる部分は、リモートワークを推進することが、濃厚接触者の範囲の限定及び職場クラスター発生防止の観点から極めて有効です。

2 感染・濃厚接触者が判明した場合

 企業・団体としては、従業員、取引先や顧客、これらの方のご家族や同居者の方に感染の疑い・濃厚接触者が判明した場合は、当該申告者からの情報提供を受けつつ、所在地の保健所・保健センターに連絡することが求められます。なお、濃厚接触者の濃厚接触者、という概念は今のところ取り入れられていませんが、企業・団体の取扱分野や取引先の性質などに応じて把握すべき対象を定めることも必要です。

 情報の把握に際しては、感染の疑いのある方・濃厚接触者が、いつから体調不良であったか、いつから発熱したか、この間に職場に出入りした日時と密接になる会議や打ち合わせがいつ誰と行われたかを取りまとめて、内部報告文書として整理し、必要に応じて保健所・保健センターに提供することになります。

 そのため、日常的な会議を対面で行わざるを得ない場合は、会議の日程を集積できるよう、webのカレンダー機能などで把握できる体制を構築することが有効です。また、そもそも、リモートで成立する会議は、濃厚接触者を生じさせないためにも、できるだけリモート会議に置き換えることが、企業活動の中断を防ぐことにつながります。

3 広報・報道対応

 顧客の来訪や、社会的に周知が必要な企業団体の場合は、広報・報道対応も必要となります。この際に求められるのは、陽性判断が出た場合に、当該陽性の方について濃厚接触者がいるか、いないかです。

(1)陽性の判断があった場合の日の特定
(2)体調不良(発熱など)の発生日の特定
(3)最終出勤日の特定
(4)最終出勤日までに濃厚接触者が出る会議などがあったかの確認
(5)消毒の実施

などが、広報にあたって必要な情報ですが、性別や年齢など、個人の特定につながる情報の開示は、基本的に慎重であるべきです。なぜなら、感染は、どのように対策していても起こりうるもので、感染した事実そのものは致し方のないもので、感染した方にとって負担となるような広報・報道対応をすべきではないからです。

 そのため、広報・報道対応を謝罪という体裁ではなく、現状の感染状況の報告、濃厚接触者の有無、以後の体制について明確に通知するということを主眼とした報告であることを意識して、ホームページや掲示、取引先等への報告を行うことが求められます。

 いつ発生してもおかしくない、という意識をもって、業務体制を構築していくことが、企業活動の継続にもつながります。改めて、リモートワークを促進できないか、業務を見直すタイミングといえるでしょう。